平成23年度税制改正の解説・・・相続贈与関係
平成23年度の税制改正大綱が12月16日に発表されました。相続贈与に関する大きな改正がありましたので、その詳細について解説したいと思います。
1.相続税の基礎控除の縮減(平成23年4月1日以後に発生する相続より)
相続税の基礎控除が下記のように縮小されます。これによって、これまで夫婦子供二人の標準世帯において8000万円までの相続財産について非課税とされていたものが、4割減の4800万円までの相続財産について非課税となりこれを超える分について相続税が課せられることとなる予定です。
現 行 | 改正案 | |
---|---|---|
定額控除 | 5,000万円 | 3,000万円 |
法定相続人比例控除 | 1,000万円に法定相続人数を乗じた金額 | 600万円に法定相続人数を乗じた金額 |
2.死亡保険金に係る非課税限度(平成23年4月1日以後に発生する相続より)
死亡保険金にかかる非課税について相続人の範囲が限定されます。これまでは、500万円に法定相続人の数を乗じた金額 が非課税とされていましたが、法定相続人のうち未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限ることとなり、独立して生計を営んでいる子供などの人数はカウントされないこととなる予定です。
3.相続税の税率構造(平成23年4月1日以後に発生する相続より)
累進税率の刻みを細かくし相続財産の多い方に増税になるようにし、また、最高税率も55%に引き上げられる予定です。
現行 | 改正案 | ||
---|---|---|---|
税率 | 税率 | ||
1,000万円以下の金額 | 10% | 同 左 | |
3,000万円以下の金額 | 15% | 同 左 | |
5,000万円以下の金額 | 20% | 同 左 | |
1億円以下の金額 | 30% | 同 左 | |
3億円以下の金額 | 40% | 2億円以下の金額 | 40% |
- | 3億円以下の金額 | 45% | |
3億円超の金額 | 50% | 6億円以下の金額 | 50% |
- | 6億円超の金額 | 55% |
4.未成年者控除及び障害者控除が引き上げられます。(平成23年4月1日以後に発生する相続より)
現 行 | 改正案 | |
---|---|---|
未成年者控除 | 20歳までの1年につき6万円 | 20歳までの1年につき10万円 |
障害者控除 | 85歳までの1年につき6万円 (特別障害者については12万円) |
85歳までの1年につき10万円 (特別障害者については20万円) |
5.贈与税の税率構造の見直し(平成23年1月1日以後の贈与より)
贈与税の税率構造が20歳以上の者が直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母)から受ける贈与とそれ以外に区分されます。それぞれ、税率構造が緩やかになり、とくに直系尊属からの贈与については生前贈与をこれまでよりも進めやすくなります。また、相続税の最高税率が引き上げられたのと歩調を合わせ贈与税の最高税率も引き上げられる予定です。
イ.20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産にかかる贈与税の税率構造
現行 | 改正案 | ||
---|---|---|---|
税率 | 税率 | ||
200万円以下の金額 | 10% | 同 左 | |
300万円以下の金額 | 15% | 400万円以下の金額 | 15% |
400万円以下の金額 | 20% | 600万円以下の金額 | 20% |
600万円以下の金額 | 30% | 1,000万円以下の金額 | 30% |
1,000万円以下の金額 | 40% | 1,500万円以下の金額 | 40% |
- | 3,000万円以下の金額 | 45% | |
1,000万円超の金額 | 50% | 4,500万円以下の金額 | 50% |
- | 4,500万円超の金額 | 55% |
ロ.上記イ以外の贈与財産に係る贈与税の税率構造
現行 | 改正案 | ||
---|---|---|---|
税率 | 税率 | ||
200万円以下の金額 | 10% | 同左 | |
300万円以下の金額 | 15% | 同左 | |
400万円以下の金額 | 20% | 同左 | |
600万円以下の金額 | 30% | 同左 | |
1,000万円以下の金額 | 40% | 同左 | |
- | 1,500万円以下の金額 | 45% | |
1,000万円超の金額 | 50% | 3,000万円以下の金額 | 50% |
- | 3,000万円超の金額 | 55% |
6.相続時精算課税制度の適用範囲の拡大(平成23年1月1日以後の贈与より)
相続時精算課税制度の適用となる受贈者に20歳以上の孫が追加される予定です。また、贈与者の年齢がこれまで65歳以上でしたが、60歳以上に引き下げられる予定です。これによって、祖父母から孫への贈与が進み、また、親の年齢が60歳以上であれば精算課税制度を適用できようになります。
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