小規模宅地の特例と生前贈与
平成27年より相続税が増税となり相続対策に関心が集まってきたところですが、平成28年の路線価が一部上昇したことにより、さらに関心が高まったきたようです。
ところで、生前贈与により相続税対策をお考えになっている方、もしくは実行している方もおられると思いますが、やってはいけない事例もあります。
不動産が自宅とその敷地しかなく、所有者である父もしくは母と同居している場合において、子が生前贈与で少しずつ不動産の持ち分贈与を受けようとしている場合は、注意です。
なぜなら小規模宅地の特例が適用できなくなる(もしくは適用できても節税効果は少なくなる)からです。
本事例では、相続発生(死亡後の意味)により土地を承継した場合には小規模宅地の特例(特定居住用80%の評価減)が適用できますが、すでに生前贈与を受けていた部分は適用できません。
相続税評価額:5000万円の土地(仮に100坪:330㎡)が、1000万円の評価額となります。
(5000万円 - 5000万円 × 80% = 1000万円)
影響額は大きいですね。
小規模宅地の特例(特定居住用)は、現在330㎡を上限として80%の評価減ですから、100坪以下のご自宅にお住まいである場合は、慎重にお考えになったほうがよいでしょう。
また、土地なので、通常、登記を行うことになります。その際、贈与であれば登録免許税が2%の税率で課税されるのに対し、相続では0.4%の税率で課税されます。
登記の際の登録免許税は、一般的には固定資産税評価額に税率をかけて算定します。
一度試算してみてはいかがでしょうか?